「見える目」に大切な調節力 その1

視力検査といえば思い浮かべるのはスプーンのような黒い道具を目に当ててCの形をした記号がどの向きに口を開けているかを答える検査じゃないかなと思います。このCの形をしたものはランドルト環というものです。

 

ちなみにあの黒いスプーンのようなもの、最近では形が変わっていて、平たい長方形の両脇下に、三角形の切り込みが入ったものになっているみたいです。スプーンの形をしたものだと目を押さえつけてしまうので後に検査する方の目が正確に測れないことがあるので、進化したらしいのですが、その三角の切り込みが見事に鼻にフィットして固定されるので思わず感心してしまいます。

 

余談はさておき、このランドルト環による視力検査では「どれだけ遠くが見えるか」ということが分かります。ほとんどの人が「遠くが見えたら近くも見える」と思いがちで、遠くを見る能力があれば「目がいい」と思っていると思いますが、実はものを見るときに大切なのは「視力」ではなく「調節力」なのです。

 

目の中には水晶体があり、その周りを毛様体という組織が囲んでいます。毛様体は毛様体筋という組織を縮めたり緩めたりして大きさが調整されます。毛様体と水晶体は、水晶体から放射線状に伸びるチン小帯という紐のようなもので結ばれています。

 

普段、毛様体はだらんと大きくなっているので水晶体との距離が離れており、チン小帯が伸びて外側に水晶体を引っ張った状態になっています。そのため水晶体は薄い状態になっていて、外から入ってきた光は屈折が小さくなり、遠くのものが見えやすい状態になっています。これが「調節力」なのですね。

 

では「調節力」が働いているのはどういう時かというと、近くのものを見ようとする時です。近くのものを見ようとすると、毛様体筋が緊張して毛様体が収縮するので、水晶体と毛様体の距離が縮まり、チン小帯が緩みます。すると水晶体が引っ張られる力が弱くなり、前に押し出された水晶体は厚みを増します。すなわちレンズが分厚くなるので、光の屈折が大きくなって、近くのものが見えやすくなるのですね。

 

 

「見える目」に大切な調節力 その2

眼球は調節力を使うことで、近くのものを見るときに焦点を合わせています。少し余談になるかもしれませんが、この調節力は「D」という単位で表されます。これは100cm÷焦点距離(cm)の式で算出されるのですが、裸眼ではっきり見えるもっとも近い距離が1メートルの人は「1D」と定義されていて、50cmの近さまで見えたら「2D」20cmまで見えたら「5D」10cmまで見えたら「10D」となります。30代なら「6D」で焦点距離が16〜17cm、40代なら「4D」で25cm、50代なら「2D」で50cmが平均とされています。

 

しかもなんと、この調整力のピークは6歳ぐらいで、約14Dの調節力があるそうです。14Dというのは7cmの距離のものに焦点が合うということになります。平均的な6歳くらいの子どもなら、遠くを見る視力はそのままで、瞬時に目の際数cmのものを見るために焦点を合わせることができるということですが、ピークが6歳ごろということは、人間の目の老化は6歳から始まっているということになるのです。

 

今、これを読んでいる距離を目から数cmまで近づけると、ほとんどの人がぼやけてくると思います。強度近視の人の中には、コンタクトレンズやメガネをはずすと、その距離でも読めるという人はいますが、それは近視がもともと調節力を使わない状態で近くに焦点が会う目になっているということなので、裸眼でその距離が見えてしまうということです。つまり近視の人が調節力を測るにはメガネやコンタクトレンズをつけた状態で遠くに焦点を合わせてから、近くにピントが調節できるかを試してみるのが正しい方法になります。

 

オルソケラトロジーは子どもの近視が進むのを抑えるために使われることも多いですが、それはつまり、コンタクトレンズやメガネを使うことで調節力を働かせることができるようにすることと繋がるのではないかと思います。そう考えると、子どもはもちろんのこと 、起きているときに激しい動きをすることの多い職業や趣味を持つ大人にとっても、衝撃がかかることで体に被害の出るリスクを減らすという意味での適した「治療」方法は何なのかと考えさせられます。

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