オルソケラトロジーレンズと酸素透過性とレンズ使用のリスク その1

コンタクトレンズを使ったことのある人ならば承知の事実かもしれませんが、レンズの使用に当たってはリスクがあります。それはもちろん感染症もありますが、一般的に最もありがちなアカントアメーバー感染症にかんしてはオルソケラトロジーのレンズがハードレンズであることを思えば、心配は少ないように思います。ハードレンズはソフトレンズと違って、水分を含んでいないので、このアカントアメーバーの感染はほぼないからです。

 

コンタクトレンズが原因になるトラブルは感染症だけではなく、そのトラブルの一番多いものが「角膜に与えられたダメージ」なのだそうです。

 

コンタクトレンズというのは角膜の表面にぴったりとのせる状態で使うレンズです。人間の角膜は神経がむき出しになっている組織なのですが、そんなところにレンズをのせても平気なのは角膜の表面が涙で守られているからなのです。

 

涙は三つの層に分かれて角膜を守っています。角膜に一番近い「ムチン層」、次が「涙液層」、次が「油層」です。ムチンというと山芋などのネバネバ成分を思い浮かべることも多いですが、要するに粘液のことで、その粘液の層が角膜の表面をカバーしています。その上に普通にイメージ通りの涙の層があり、その外側を覆う油の層が、涙液が過度に蒸発しないように防いでいるのです。コンタクトレンズをのせるということは、レンズをこれらの層の上に浮かべるということなのですね。

 

 

角膜が涙で守られているとはいっても、コンタクトレンズはやはり異物であって、それをのせるということは、まばたきなどでレンズが動いて、角膜を擦ってしまいます。角膜が自分の力で治してくれるので、自覚症状はほとんどありませんが、小さな傷や炎症が生じることはあるわけです。また、すぐに治るとはいえ翌日レンズを装着すれば、また同じように傷や炎症は起こります。またコンタクトレンズを長時間つけていると、涙液が減って、ドライアイになりがちで、角膜を保護しているクッションが薄くなるので、更に炎症が起こりやすくなったりします。

 

 

オルソケラトロジーレンズと酸素透過性 その2

コンタクトレンズが角膜に及ぼす影響として、傷や炎症に並んでもうひとつ、角膜を死滅させてしまうリスクが上げられます。

 

厳密にいうと、角膜の内側にある「内皮細胞」が栄養不足になって死滅していってしまうのですが、この細胞はいったん死滅してしまうと、二度と再生しないので、細胞の数がどんどん減少してしまうのです。内皮細胞は正常な若い人では1ミリ四方約3000個といわれますが、年齢と共に少しずつ減少し2000〜2500個くらいに減少します。

 

しかし500個以下になるくらいまでは自覚症状がなく気づくことができませんし、1000個を切ると色々な目の手術を受けることができなくなります。眼科の手術や外傷で減ることがあります。ところがコンタクトレンズを使っている人の中には、気づくと驚くほど死滅していたという事例もあります。

 

角膜というのは0.5ミリ程度の薄い組織で、外側が上皮、内側が内皮という層で覆われています。角膜は光を通すために透明です。体の組織というのは血管により、栄養が運ばれますが、角膜は透明であるために血管が通っていません。そのため、涙や空気から栄養分や酸素を取り込みます。

 

コンタクトレンズをつけると空気が遮断されるので取り込みづらくなり、酸素が取り込めず、角膜に悪い影響を及ぼします。これを回避するために必要になってくるのが「レンズの酸素透過性」です。

 

コンタクトレンズの注意点として「眠るときにつけたままにしない」というのは常識です。例えほんの30分の仮眠だったとしても、コンタクトレンズをつけたまま目を閉じると、角膜には酸素がかなり届かない状態になり、角膜内皮細胞が死滅していきます。

 

オルソケラトロジーのレンズは「眠るときにつける」ことが前提のため、酸素透過性は特に高いものになっています。けれど、やはりごくまれにではありますが、角膜障害を起こしたり、就寝中にレンズがずれて、不正乱視が発生することもあるようです。手入れは市販のハードコンタクトレンズの消毒液でもOKですが、レンズのサイズは通常のものより大きいので、専用のケースを購入することがすすめられているようです。いずれにせよ、医師の指導のもとで、定期検診を受けながらの治療は必須になりますね。

 

 

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